県内でも広がる「外国人技能実習生」②
技能実習スタートからの3カ月を振り返って /「信頼し合える関係をが大切」 /笠原建設㈱コンクリート圧送課
2019年01月01日(火)
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笠原建設㈱(唐津市、笠原秀子代表取締役)は9月1日から、コンクリート圧送部門でベトナム人技能実習生のズンさん、ヴィンさん、チョンさんの3人を受け入れている。技能実習制度の目的に則して、現地の経済発展を担う「人づくり」を通じて国際社会に貢献できればという同社の思いから実現した。実習生の3人は、社員として最長3年間の業務を経験しながら技能と知識を培う。
技能実習生3人と、同社、山川英幸圧送課長に、技能実習をスタートしてからの3カ月間を振り返ってもらった。
【ズンさん、ヴィンさん、チョンさん】
入社してから3カ月がたちます。業務ではまだすべての内容を把握できていませんが、配管の設定やコンクリートを流し込むホースのキープ、作業車の清掃などを行いながら、技術を学んでいっているところです。
生活面についてですが、日本に来たばかりのころは慣れなかった日本の食べ物も、今では食べられるようになりました。現在住んでいる唐津市には、山、川、海があって空気もきれいですが、寒くなってきたので体調管理には気を付けます。
言葉の壁があるのは大変で、毎日言葉の勉強をしています。周りの人たちからコミュニケーションを取ってもらい、休日は一緒に出掛けるなど家族のように接してもらえてとても助かっています。
笠原グループは、建設だけではなくさまざまな事業を行われていて、その一員として仕事ができることを誇りに思います。技術力だけではなく日本語も上達させて、社員として信頼関係を築き、会社に貢献していきたいと強く思っています。
年末年始の休暇では、伊万里市に住む技能実習生を訪ねて一緒に過ごそうと計画しています。日本のお正月を、いろいろと体験してみたいです。
【コンクリート圧送課 山川課長】
当社での業務を通じて学んだ技術を母国で生かしてもらいたいとの思いで受け入れを希望しましたが、技術移転に向けた高い志を持って意欲的に取り組んでくれていて、われわれとしても助かっています。3人ともすごく努力家で、技術と言葉を覚えるのも早い。彼らの話の中で「会社に貢献したいと強く思っている」とありましたが、何事にも積極的に臨む姿勢からもその気持ちが見てとれます。
日本とベトナムでは文化や生活習慣が異なる部分もあってお互いに大変ですが、こちらでの暮らしにも慣れてきた感じがしてきたので安心しました。3人は同じ住居に住んでいいて、早く家に帰った人が料理当番をするなど、生活サイクルがうまく回る工夫もしているようです。スケジュールも自分たちで管理していて、これまで遅刻もありません。
言語の違いは、やはり苦労する点です。方言は使わない、長文ではなく単語を並べて分かりやすくするなど気を付けています。ほかには、身ぶりや手ぶり、図を描いて説明することもあります。3人は日本語の勉強にも熱心で、休憩中や移動のときには日常会話や冗談も交えながら学ぼうとしており、積極的に話しかけてきます。
3人に渡す重要な書類などは、監理団体所属の通訳の方に翻訳してもらいベトナム語で作ります。また、普段の連絡などはなるべく簡単な日本語で伝えるか、SNSツールを使って連絡を取り合い、素早く情報を伝達できています。
今回の技能実習は最長でも3年間。専門の技術を習得するための十分な時間があるとは言い難いながらも、彼らは実習を終えるころには一人前の技術者になるだけの能力を持っています。それを生かして今後も頑張ってほしいし、われわれも彼らの力を引き出すためのサポートをしっかりと行っていきます。
帰国した後は、実習で身に着けた技術をさらに進化させるようなアイデアを発揮して、母国の発展に役立ててもらいたいです。
母国とは環境が違う異国の地で、実習生たちは志を持ちながら技術の習得を目指して業務や勉強を頑張っています。そんな彼らをしっかりと支援することで、「技術を身に着けて、会社に貢献したい」と応えてくれるでしょう。日本人同士にとってもそうであるように、外国人技能実習生とも同じく「お互いに信頼し合える関係を築いていく」ということが、基本であり、大切なのだと思います。
■県内でも広がる「外国人技能実習生」①
佐賀労働局労働基準部監督課の本田課長に聞く についてはこちら