県内でも広がる「外国人技能実習生」①
「安易な労働力」ではなく『同じ会社の仲間』 /佐賀労働局労働基準部監督課の本田真由美課長に聞く
2019年01月01日(火)
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県には2017年末時点で、2157人(16年末の1849人から308人増加)の外国人技能実習生が在留しており、これは県内在留外国人総数5755人の37・5%を占める。職種別に見ると、建設業は上位3位となっている(在留外国人に占める技能実習生の割合および職種分野は別表参照【表1】)。
佐賀労働局労働基準部監督課の本田真由美課長に、県内在留技能実習生数の推移や、同局での取り組み、受け入れる企業に求められる姿勢などについて解説してもらった。
【県内在留外国人技能実習生の状況】
県内の在留技能実習生数は、13年では1184人だったのが17年までの5年間、毎年増加しています。九州各県でも同様で、今後も増加する傾向が続くと予想されます(在留技能実習生の推移は別表参照【表2】)。
また、県内の職種分野別では上位から、1位が食品製造、2位が繊維・衣服、3位が建設となっています。建設は福岡県と沖縄県で1位、全国で3位です。このことから、国内の建設分野での外国人技能実習生は少なくないと言えるでしょう。
【技能実習生受け入れの流れ】
技能実習生は、受け入れ機関別に二つのタイプがあります。一つは、日本の企業などが海外の現地法人、合併企業や取引先企業の職員を受け入れる「企業単独型」。もう一つは、事業協同組合や商工会などの非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業などで技能実習を行う「団体監理型」です。
技能実習法では監理団体の責務として、技能実習の適正な実施および技能実習生の保護について重要な役割を果たすものであることを自覚し、実習監理の責任を適切に果たすことなどを定めています。監理事業を行うには、法務大臣と厚生労働大臣から監理団体の許可を受ける必要があります。
技能実習生を受け入れて実習実施者となることを希望する企業は、まずは監理団体に相談すると良いでしょう。監理団体の検索は、実習法に基づいて設立された外国人技能実習機構のホームページ(http://www.otit.go.jp/)から行うことができ、登録されている監理団体は随時更新されています。依頼する監理団体を決めたら、その指導に基づいて技能実習計画を作成して外国人技能実習機構に認定申請をするステップへと進んでいきます(技能実習生の受入れフローは図参照)。
【佐賀労働局での取り組み】
佐賀労働局では実習実施者に対する監督指導などにより、外国人技能実習生の労働条件・安全衛生の確保に取り組んでいます。17年は52件の監督指導を実施しましたが、その69・2%に当たる36件で労働基準関係法令違反が認められました。主な違反事項は、使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準20・4%、労働時間18・5%、割増賃金の支払16・7%の順に多くなっています。
労働局や労働基準監督署は、監理団体や実習実施者に対して労働基準関係法令などの周知・啓発に努めるとともに、法令違反の疑いがある実習実施者に対しては監督指導を実施するなど、引き続き技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に重点的に取り組んでいきます。
【受け入れる企業に求められる姿勢など】
技能実習生は、入国直後の講習期間以外は、実習実施者との雇用関係の下、日本の労働関係法令などが適用されます。受け入れを考えたときに、決して「安易な労働力」として見ることなく、「同じ会社で働く仲間」として考えることが大切です。
また、言語の違いによるコミュニケーションギャップを埋めるための対策、例えば、説明にはイラストや写真を用いるなどの工夫も必要かと思います。日本とは異なる歴史文化や生活環境で育った外国人に対しては、そういった違いの説明が必要な場面もあります。何かあったときに相談をしやすいことも監理団体を選ぶポイントになるのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、日本で働く技能実習生には、日本の法律が適用されます。このことをしっかりと認識した上で、実習生を受け入れてください。
■県内でも広がる「外国人技能実習生」②
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