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高校×造園業界座談会/「緑の仕事」に若い力を

2026年01月27日(火)

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その他

造園業界座談会

日本造園組合連合会理事長 寺石隆一氏

鳥栖工業高校土木科 熊丸正美教諭

日本造園組合連合会佐賀県支部長 天本良光氏

高志館高校総合学科 富岡陽教諭

庭づくり研修会設計発表会

発表会の様子

受賞式

高志高等学校 図面

 (一社)日本造園組合連合会佐賀支部が中心となり初めて開催された「庭づくり研修会設計発表会」は、高校生・短大生の提案力と実行力が際立つ催しとなった。コンペを通じて業界と教育現場の距離が縮まり、若い世代に造園の魅力を伝える契機にもなった。本紙は、佐賀県支部の天本良光支部長、同連合会本部の寺石隆一理事長、鳥栖工業高校の熊丸正美教諭、高志館高校の富岡陽教諭に、造園業界の現状と若手育成の課題、今後の連携について話を聞いた。



■日本の造園技術は海外でも需要があると聞きます。


 寺石理事長 アメリカでは日本庭園の技術者が不足しています。造園連では、人材交流や海外研修などを進めています。新たな切り口で仕事を広げていきたいと考えています


 天本支部長 フランスでも日本の剪定技術は高く評価されています。日本人が剪定していると、カメラのシャッター音が響くほど注目されます。生徒さんたちにも、そういった海外の評価や可能性を知ってもらいたいですね



■若い世代の「緑の仕事」への関心は、今どうなっていますか。


 天本支部長 全体としては減っています。特にバブル期が一番多く、今はその頃と比べると数字が下がっているのが現状です


 寺石理事長 造園だけでなく、緑地環境とカフェを組み合わせた事業など、新しい取り組みで人材を増やしている会社もあります。ただ、全体的には減少傾向にあると感じます


 熊丸教諭 鳥栖工業高校土木科としては、興味を持つ生徒はむしろ増えている印象です。ただ、生徒数そのものが減っており、今年の3年生は定員40人に対して21人。その中から2人が造園の道に進みました


 富岡教諭 高志館高校でも毎年1―2人は造園関連に進みます。大きく増減することはありませんが、安定して関心を持つ生徒はいますね



若い世代の造園への関心の変化について、どのように見ていますか。


 寺石理事長 以前は“家業が造園だから”という理由が多かったのですが、今は違います。造園分野とは別の学科の学生が、庭園文化に興味を持って入ってくる例が増えています


 天本支部長 造園は作品づくりを通して誰かの役に立つ仕事です。その魅力は今も昔も変わらず、若い人に響いていると感じます



■生徒たちは、どんな理由で造園の道を選ぶのでしょうか。


 富岡教諭 高志館高校では家業という理由もありますが、多くはインターンシップでの体験やコンペ参加を通じて興味を持ち、就職につながっています


 熊丸教諭 インターンシップの影響は大きいですね。現場の方々が丁寧に教えてくださるので、“ここで働きたい”と決める生徒も多いです



■企業と学校のマッチングで課題はありますか。


 富岡教諭 授業時間の制約が大きく、カリキュラム上“1日全部を実習に充てる”ことが難しい学校もあります。週2コマなど限られた中で進めるので、企業の方には何度も来校していただくことになります


 熊丸教諭 企業さんにお願いしても、時間が短いため作業の一部分しかできないことがあります


 寺石理事長 ただ、今回のコンペは非常に良かった。生徒さんから“業界を目指したい”という声も出ており、大きな収穫だったと思います



■最後に、高校教育と業界への期待をお願いします。


 寺石理事長 造園には長い歴史があります。植栽や庭の文化的価値を含めて、魅力ある職種であることを生徒さんに伝えていただきたいです


 天本支部長 造園は、ローコスト住宅であっても庭づくりによって大手メーカーにも負けない魅力を出せます。そうした価値を知っていただきたいですね


 熊丸教諭 今回のコンペは生徒にとって非常に良い経験でした。自分で考えて作品をつくるという活動は教育的価値が高く、今後も続けてほしいと思います


 富岡教諭 花壇づくりなど、企業の方と一緒に“形に残る実習”ができれば、さらに教育効果が高くなります。完成品が残ると達成感が大きく、座学では得られない経験になります。今後もぜひ協力をお願いしたいです



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 造園業界は今、大きな岐路に立っている。担い手の減少は長年の課題であり、特にバブル期をピークに志望者数は減少傾向をたどってきた。しかし、造園連佐賀支部らが初めて開催した「庭づくり研修会設計発表会」で、その流れを変える可能性を示したと言える。




庭づくり研修会設計発表会 -高志館高校が最優秀賞-


 (一社)日本造園組合連合会佐賀支部らは昨年11月11日、「庭づくり研修会設計発表会」を初開催。鳥栖市役所の庭園設計を競い、高志館高校が最優秀賞を受賞した。「TOSU」を花で描く花壇やサガン鳥栖を象徴する色使い、バス停を意識したベンチ配置といった工夫が高く評価され、今年6月に実際に施工される。


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