技術者発表『佐賀城下歴史的建物悉皆調査から見えるもの』/佐賀県建築士会・江島文氏
2025年06月21日(土)
SAGA建設技術フェア2025
その他
2日目12日の技術者発表では(一社)佐賀県建築士会の江島文氏(㈲江島建築文化、取締役)が『佐賀城下歴史的建物悉皆調査から見えるもの』と題した講演を行った。
大学で文化財保存を専攻し、現在はヘリテージマネージャー(※)として活動している江島氏は、佐賀市城内に残る歴史的家屋に関する調査結果を報告した。
調査対象は、近代的な建築基準法が施工される以前の、昭和初期に建設されたもの。江戸時代に描かれた古地図をもとに調査エリアを設定。長崎街道沿いと佐賀城周辺を調査し、270件を超える歴史的家屋を保存状態などに準じてランク付けした。講演ではそれらの様式や特徴を紹介した。
悉皆調査を開始した2019年以降、すでに解体された建物も多く、このままでは年以内に歴史的家屋が姿を消してしまうと危惧する江島氏。歴史的家屋を後世に残すための取り組みとして、調査で得たデータをもとに▽対象地域での報告会(認識度向上)▽家屋所有者を対象にした保存のための相談会▽PRイベント―などを開催していきたいと語った。
※ヘリテージマネージャー
地域の歴史文化遺産の調査や把握、保全活用に務める人材を指す。養成講座の受講が必要。