【インタビュー】佐賀県建設技術支援機構 王丸義明理事長に聞く/技術情報の「交流の場」に
2025年06月05日(木)
SAGA建設技術フェア2025
その他
「SAGA建設技術フェア2025」が11・12日の両日、佐賀市のSAGAプラザ(総合体育館)大競技場で開催される。会場では県内外より過去最多となる66の企業・団体がブースを出展。環境・防災・コスト縮減・維持管理・佐賀の技術・インフラDXの6分野で最新技術や新工法を紹介する。特別講演や技術者による発表も行われる。主催者の(公財)佐賀県建設技術支援機構の王丸義明理事長に、フェアの目的などを聞いた。
開催にあたり、思いをお聞かせください
2025年は、団塊の世代が75歳以上となり、大量退職が予想され、労働力不足が深刻化すると言われています。いわゆる『2025年問題』です。建設業界においても、熟練技術者の退職が相次ぎ、技術やノウハウの継承が一層難しくなることが懸念されています。
その対策としては、若手技術者の育成やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は欠かせません。大手企業などでは現場の作業を自動化する建設ロボットの開発が加速しているようです。
建設業界を取り巻く状況は厳しいものの、地震や豪雨などの災害対応や復旧・復興において建設業界が果たす役割は大きく、我が国の安全・安心な社会の実現には欠かせないのが建設産業です。
SAGA建設技術フェアは、▽建設分野(土木・建築)の技術・工法・製品などについて産学官における技術情報の交流の場を提供すること▽建設分野の技術開発や新技術導入の促進を図ること▽多くの方々に建設業界の魅力や社会資本整備の必要性について理解を深めてもらうこと―を3つの柱としており、建設産業の発展およびキャリアデザイン教育の推進に寄与することが目的です。会場では、計画・調査・設計・施工・維持管理の各段階における多くの技術や製品に触れていただくことができます。
昨年との変更点についてお聞かせください
当フェアに初めて出展される団体もあり、県内外から過去最高の66団体に出展していただき、さまざまな分野の技術や製品が紹介されます。
出展団体は毎年増えており、大変ありがたく感じているとともに、より有意義なイベントとしていく必要があると考えています。
また、毎年、関係機関に後援をお願いしています。今回から、メディア関係へのアナウンスを充実すべく、地元のラジオ局やケーブルテレビ局からも後援をいただきました。
より多くの方々に当フェアのことを知っていただき、少しでも建設業界に興味を持っていただければと思っています。
今年の見どころについてお聞かせください
特設ステージでは、特別講演、技術者発表、学生研究発表会、展示技術プレゼンテーションを行います。
今年の特別講演は建設業界以外の災害対応・連携をテーマにしました。1日目は佐賀大学医学部看護学科教授の鈴木智惠子氏に、安全・安心なまちづくりに向けたハードとソフトの連携~建設・医療分野からの支援~と題してご講演いただきます。
2日目は特定非営利活動法人日本レスキュー協会の高木美佑希氏に、災害現場における災害救助犬の活動についてご講演いただきます。
お二人のご講演を通して、建設分野での災害対応のヒントや他分野との連携の重要性を改めて認識できる機会になればと思っています。
技術者発表や学生研究発表では、今後の建設業界を担う若手の技術者・研究者や女性技術者が感じている建設業界の魅力、発表者の皆様が描く今後のキャリアデザインについて聞くことができるでしょう。
また、展示技術プレゼンテーションでは、出展ブースの中から技術や製品を紹介していただきます。
パネル展示では、昨年度に引き続き、普通科高校の写真部が土木現場を“キリトリ”、写真展を通じて土木の魅力を発信する青春BUILDプロジェクト(代表 デミー博士)の写真展『高校生がみた土木の世界』を行います。県内では唐津西高校・武雄高校・致遠館高校の写真部が参加しています。写真展を通して、高校生から見た土木の驚きや発見を感じてもらうことができます。
来場予定の皆様へ一言お願いします
近年の建設業界では、働き方改革による時間外労働の上限規制の適用、i‐Construction2・0の策定、インフラ分野のDX推進、カーボンニュートラルやグリーン・トランスフォーメーション(GX)による環境問題対策、災害対応・復興、など多くのキーワードあるいは課題が挙げられます。
それらを解決するための技術や情報がフェアには溢れています。是非ともご来場いただき、今後の業務に役立てていただければ幸いです。