首木の民/誉田哲也
2024年08月31日(土)
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大学の客員教授、久和が窃盗と公務執行妨害の容疑で逮捕された。運転する車の中から、血の付いた他人の財布が発見されたのだ。久和は内閣府が設置する経済財政諮問会議に出席したこともある経済政策通だが、警視庁志村署の佐久間に対し「公務員を信用していない」と言い、取調べは進まなかった。
一方、財布の持ち主を捜していた志村署の中田は、フリーライターの菊池に行き着く。菊池は交通事故を探っていたが、その事故にはある組織の人物が絡んでいた。その後の捜査で、徐々に明らかになる人間関係。それらを辿っていくと、ひとつの大きな「企み」が。
著者が「ストロベリーナイト」シリーズや「ケモノの城」などを書いた誉田哲也とくれば、狂気に満ちた殺人者と警察組織との攻防かと思いきや、逮捕された久和が語る「お金とはなにか」から始まる財政論講義など本作は警察小説の姿に擬態した経済小説であり、財務省の闇を暴いていく異色の作品である。
『首木の民』 誉田哲也/双葉社
1,800円(税別)
CHECK!
「国債」や「税金」など経済の仕組みをわかりやすく伝える警察小説です!