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23年度7月豪雨災害 県内各地で復旧進む

2024年08月28日(水)

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佐賀市富士町の復旧工事現場

唐津市道峰門柳瀬線の復旧工事現場

 2023年6月末から7月中旬にかけて、梅雨前線が日本付近に停滞、各地で大雨となり、九州北部地方では7月の平年の月間降水量の2倍を記録した地点もあった。県内では7月8日から線状降水帯が発生、豪雨が集中した唐津市や佐賀市の山間部では最大時間雨量92㍉を観測した。10日には唐津市浜玉町で土石流が発生、家屋2棟が全壊し、3人の人命が失われている。地元の建設業者は強い使命感と誇りを持って、被災場所の災害復旧に尽力している。

 県が把握している24年7月豪雨災害の被害箇所は、公共土木施設574カ所(うち県施設234カ所、市町施設340カ所)、農地・農道4885カ所、林地・林道1442カ所、漁港施設・海岸13カ所など。また農業用ハウスなどの農業用施設・設備の被害は300件報告されている。

 被害額に関しては、公共土木施設が約118億円(うち県施設約68億円、市町施設約50億円)で、農地・農道・林地・林道・漁港施設・海岸のほか、水稲など農畜産物被害も含む農林水産関係の被害額は約200億円にものぼる。

 災害復旧に関して県では、23年度末までに約138億円の災害復旧関連予算を計上した。公共土木施設では、復旧工事の発注のうち約9割が終わり、唐津市浜玉町の堰堤工のように、これから本格的な工事が始まる段階だ。

 唐津市浜玉町の今坂地区で7月12日、堰堤工事が開始された。2023年7月の豪雨で発生し、3人の犠牲者を出した土砂災害の復旧に係る工事だ。施工する平野・中山JVの川添信雄代表取締役(平野建設産業㈱)は「尊い命が犠牲になったことを胸に施工して参ります」と語った。


 昨年7月の豪雨により、佐賀市の北部地区や唐津市で道路、河川、農業関連施設の被害が発生した。佐賀市、唐津市では2024年度一般会計当初予算に災害復旧費を計上し、復旧工事を推進している。


佐賀市北部エリアで復旧工事
 佐賀市は、昨年7月に発生した豪雨災害の災害復旧費を2024年度一般会計当初予算に計上し、災害復旧工事を推進する方針。24年度当初予算では農地・農業用施設災害復旧事業費19億4960万円、公共土木施設災害復旧事業費1億2411万円、林道災害復旧事業費1億5987万円を組んだ。

 被害は佐賀市の北部エリア(富士、三瀬、大和)に集中しており、農地法面や道路路肩、水路護岸の崩壊などが発生。農地法面の崩壊など、農地および農業用施設の被害は1334カ所(補助1141カ所、単独193カ所)となり、24年5月末までに404カ所の災害復旧工事を発注、6月末時点で122カ所の工事が完了している。

 公共土木施設の被害箇所は道路および河川で約80カ所。富士町大字麻那古や上無津呂の被害が大きく、川頭川、麻那古川の市管理区間でも護岸崩壊が発生した。災害復旧工事(補助分)は発注済みで、今後は単独分の工事を発注する予定。

 林道についても路肩や法面の崩壊が発生しており、約100カ所の災害復旧工事を計画している。

 市の担当者は「10月頃までに工事発注を終え、2年程度での復旧工事完了を目指す」と話した。


唐津市は土木施設復旧に42億超
 県内でも被害の大きかった唐津市は、2024年度一般会計当初予算に土木施設災害復旧費42億4696万円、農地・農業用施設災害復旧費22億8560万円を計上しており、順次、災害復旧工事を発注している。

 公共土木施設の災害発生件数は合計で293件となり、内訳は道路災害244件、河川災害48件、橋梁災害1件。

 地区別では旧唐津地区47件(道路31件、河川16件)、相知・厳木・北波多地区26件(道路23件、3件)、鎮西・呼子・肥前地区10件(道路9件、河川1件)、浜玉地区44件(道路30件、河川14件)、七山地区166件(道路151件、河川14件、1件)で、七山地区が最も多い。

 6月末時点の災害復旧工事の発注率は道路が約80%、河川が約70%で、市の担当者は「24年度内で復旧率70%、25年度内で復旧率90%、26年度内の完了を目指す」と話している。

 農地および農業用施設の災害発生件数は、合計で686件(農地372件、農業用施設314件)。地区別では七山地区が308件で最も多く、肥前地区155件、浜玉地区84件、相知地区42件、厳木地区37件などとなっている。

 市の担当者は「災害復旧工事を随時発注し、25年度内の整備完了を目指したい」と話した。

災害復旧工事を担う地元の建設業者

 地域の気候や地形を熟知した地元の建設業者は、郷土愛に根差した地域貢献の思いと、自分たちが地域を守っているという誇りを持って、被災場所の災害復旧工事に携わっている。

 唐津建設業協会の岩本真二会長は「被災された方々の日常、安心、安全を取り戻すことが使命。さらには今後起こりうる災害に備え、社会資本を整備している。被災地は、耐力が低下し、不安定な箇所もあるため、綿密な施工計画とともに、熱中症対策も含め、安全第一に工事を進めている」と話す。

 一方、唐津防災対策協議会の村上伸会長は「猛暑の中、会員企業37社が被災箇所の復旧工事に懸命に従事。対策をどれだけ講じても自然災害は防ぎきれず、被災後の早期復旧により住民の生活を早く元に戻すことが重要。そのため協議会は今後とも行政と連携して防災と復旧活動を継続していく」と語った。


郷土愛と誇りを持って地元建設業者が尽力

 地域の気候や地形を熟知した地元の建設業者は、郷土愛に根差した地域貢献の思いと、自分たちが地域を守っているという誇りを持って、被災場所の災害復旧工事に携わっている。

 唐津市浜玉町の今坂地区では、7月12日に堰堤工事が開始された。2023年7月の豪雨で発生し、3人の犠牲者を出した土砂災害の復旧に係る工事だ。施工を担当する平野・中山JVの川添信雄代表取締役(平野建設産業㈱)は「尊い命が犠牲になったことを胸に施工して参ります」と語った。

 唐津建設業協会の岩本真二会長は「被災された方々の日常、安心、安全を取り戻すことが使命。さらには今後起こりうる災害に備え、社会資本を整備している。被災地は、耐力が低下し、不安定な箇所もあるため、綿密な施工計画とともに、熱中症対策も含め、安全第一に工事を進めている」と話す。

 一方、唐津防災対策協議会の村上伸会長は「猛暑の中、会員企業37社が被災箇所の復旧工事に懸命に従事。対策をどれだけ講じても自然災害は防ぎきれず、被災後の早期復旧により住民の生活を早く元に戻すことが重要。そのため協議会は今後とも行政と連携して防災と復旧活動を継続していく」と語った。


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