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【意見交換会】建設業近代化促進協議会×九州地方整備局/2024年問題への対応を主に7つ要望

2024年01月04日(木)

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ホテルマリターレ創世(佐賀市)にて

 昨年11月24日に建設業近代化促進協議会(下村敏明会長、43社)と九州地方整備局(以下、九州地整)との意見交換会が開かれた。2024年問題への対応を主にした7つの要望事項(※)を発表。それを受けて九州地整企画部の阿部成二技術調整管理官や建政部の担当者らが現状の認識や問題解決に向けた考えを述べる形で意見交換会は進んでいった。


 回答には閉所型工事でも一部短期間に限り交代制への切り替え可能とする案や書類簡素化への取り組みといったものも含まれていた。


※要望7項目=▽総合評価方式の見直し▽働き方改革への取り組みと課題▽書類の簡素化▽BIM/CIMの取り組み▽設計歩掛が現場と合わない項目▽不調不落状況の改善が必要な工事について▽県内土木系高校からの要望


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 要望事項詳細と九州地整の回答を一部抜粋で紹介する。


 

【総合評価方式の見直し】

▽特例監理技術者制度の状況に応じた運用▽若手技術者表彰の評価の取り扱いの見直し


■九州地整

 特例監理技術者制度が受注業者の二極化を促進するとの意見があるが不調不落対策として導入した制度であり、現時点では著しい不調不落が発生しない限り当面一般土木工事での運用は見合わせ、状況を的確に把握したうえで実施の判断をする。若手技術者の表彰については、総合評価におけるバランスの考慮を求められていると考えている。今年度からはバランスを見直し、評価する声を頂戴した。これからも十分に考慮して若い技術者、女性技術者や企業にやりがいを持ってもらえるよう続けていきたい



【書類の簡素化】

▽つくりこみ不要な仕組みへの継続した取り組み▽本来発注者作成の書類を受注者が作成している現状の見直し▽概算発注から詳細設計後の発注へ


■九州地整

 2021年に作成した〝土木工事書類省力化ガイド〟を11月に改訂した。①工事検査は「検査書類限定型」を活用し、10書類のみを検査②不要な書類を作成しても加算対象としない③〝自ら立案した創意工夫や技術力〟〝地域社会や住民に対する貢献”は1工事に10項目まで―を明記し、書類の見栄えや量を評定に影響させないことを検査官に改めて周知する。発注者が作成すべき書類を受注者が代わってつくっている件についても見直しのための手引きを作成中。発注者作成書類を明確にし、その上で発注者が作成できない場合は外部コンサルに発注、もしくは受注業者に別途費用を払って書類を作成してもらうことを明記。来年4月からの運用を目指す。
 事業を円滑に進めるために概算発注が必要。そのため条件明示を活用してほしい。また条件明示の内容は定型以外書かれていないことが多いが、あらかじめ変更が予想される事柄を書いてもらえれば、定型以外でも設計変更の対象とする。また受注者責任でない事柄についても変更で対応したい。



【働き方改革への取り組みと課題】

▽出水期や海苔期を考慮した適正な工期設定▽さらなる労務単価アップや調査基準価格の引上、適正な工期設定(週休2日でも給料が減らさず、工期を守るため)▽週休2日制における交代制実施の際の適正な経費への見直し


■九州地整

週休2日を実現するためには適正な工期の設定が重要。発注にあたっては工期算出の指針があり、週休2日達成や悪天候による遅れなども盛り込んでいる。また地域特性も各事務所に考慮するよう指導している。労務費アップについては労務費と歩掛をセットで見て適切に見直していかなくてはならないと考えている。週休2日制における交代制については、交代要員を新たに雇用した結果費用増になるという声は多く、課題として本省に伝えていく。



【BIM/CIMの取り組み】

▽国交省が目指す活用に向けた講習会の開催


■九州地整

人手不足、より厳しくなっていく現場条件を鑑みればDX推進は待ったなしの状況。国交省を挙げてこれからも推進していく。一方で受注者側からはICTとの区別が判然としない、なにから着手していいのか分からないといった声も聞く。また調査、計画、施工、管理と分野ごとに進化してきたため、データの種類や構造が全課程一貫で共有できる段階ではないと認識している。今後の状況を注視して方針を固めていきたい。BIM/CIM活用のイメージとしては、住民説明会や地域との調整を円滑に進めるための3次元モデル(立体交差や埋設箇所などの詳細明示)を考えており、発注者側のこのような意図や要望が伝わっていないのであれば勉強会の開催も必要だと考えている。


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