当社デジタルサイトに追加機能、経審情報を検索・閲覧可能に/佐竹行政書士事務所に聞く「経審の点数を上げる勝負所」
2024年01月04日(木)
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経営事項審査(以下、経審と記載)は公共工事の受注に直接関係する。建設新聞社では、春頃より当社デジタルサイトで建設会社の経審の結果を確認できるよう準備を進めている。本企画では、当社デジタルサイトで何ができるようになるか。経審のことを深掘りするために佐竹行政書士事務所に評価の上げ方などについて話を聞いた。
公共工事を発注する各機関は、競争入札に参加する建設業者の資格審査を行う。その際に、発注機関は客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化することで、順位付けが行われる。そのうち、客観的審査事項が経審と呼ばれるものとなる。
経審の結果であるP点は、完成工事高などの経営規模の項目(X1点・X2点)、純支払比率や負債回転期間などの経営状況の項目(Y点)、技術職員数などの技術力の項目(Z点)、社会保険の加入状況などの社会性の項目(W)などで算出する。割合は、「(X1点25%)・(X2点15%)・(Y点20%)・(Z点25%)・(W点15%)」となっている。
自社の状況を分析できる経審は、会社経営状態が良好なのか、資金面・人事面・売上面など、どこかに問題が出てきていないかなどを把握して改善策の気づきになる。 入札では、落札して受注できることもあれば、他社に競り負けることもある。そうなると「何故負けたのか、他社はどんな工夫をした経営をしているのか」を調べる手助けに当社デジタルサイトのデータを活用してほしい。
更新するデジタルサイトでは、建設会社の情報を集めてデータベース化する予定だ。社名、住所、大臣・知事、工種、評定などで条件を絞って検索・閲覧が可能になる。
検索結果は、登録日や許可番号、経常利益、完工高、Y点などで並び替えて表示できるようになる。
また、建設会社の情報には、その他の審査項目(雇用保険加入の有無や建設業退職金共済制度加入の有無等)―など詳細まで調べることができるようになる予定だ。
さらに今回、経審を深く知るために佐竹行政書士事務所の佐竹陽一所長と佐竹哉迪氏にインタビューした。
佐竹行政書士事務所に聞く「経審点数を上げる勝負所」
どんな方が経審の依頼をされるのでしょうか?
公共工事の入札参加に必要なので、その為に依頼される方がほとんどです。それ以外では、銀行の審査で受ける方もいらっしゃいます。また、元請会社さんが下請会社さんを選出するときに経審情報を確認する場合があるので、下請会社さんでも依頼されることもあります。
ボランティア活動などは経審の点数をあげるために必要なのでしょうか?
ボランティア活動については入札参加資格審査申請の主観点に入ることはあります。経審自体には入りません。ボランティア活動をしたことは加算点として格付などに影響を与えます。
皆さんが誤解していることなどはありますか?
マイナス決算はすごく悪くなると思っている方が多いです。もちろん、プラス決算の方が良いのですが、マイナス決算でも経審の点数を上げることができます。貸借対照表のバランスが一番大事なので、それをどう整えるかが大事です。
貸借対照表のバランスと工事高、原価率など8つの項目からY点は成り立っています。この辺りは、建設業の会計が関わってくるので難しい所かもしれません。
“ズバリ!こういう事をすれば点数が上がる“ということはありますか?
一番わかりやすくて上がりやすいのは、その他の審査項目(W点)です。対応できるものは全てやりましょう。
私たちが対応している佐賀の企業さんについては、その他の審査項目(W点)はほぼ全て揃えています。佐賀県の等級のある格付に関しては1点が勝負になってきます。
他に点数をあげるための勝負所はありますか?
完工高や技術者の数(Z点)も大事ですが、「財務の状況(Y点)+営業利益と減価償却部分(X2点)」が非常に大事になってくると思います。こちらは併せて35%を占める割合になりますし、毎年変わってくるものでもあります。
その他の審査項目(W点)は理解しているが、財務状況は難しいという方も多いですね。
佐竹行政書士事務所では、独自のやり方で対応しています。当社は行政書士事務所でもありますが、建設業の会計記帳の代行もやっています。決算の仕方によってY点が違ってきます。