時間外労働の上限規制 /2024年4月から建設業でも適用、月45時間、年360時間が原則
2023年08月24日(木)
特集記事
その他
2019年4月施行の改正労働基準法で時間外労働の上限が規定され、その適用が5年間猶予された建設業でも、24年4月から時間外労働の上限規制が適用される。時間外労働時間の上限は月45時間、年360時間が原則で、違反した場合の罰則もある。時間外労働の上限規制のポイントをまとめた。
■労働基準法における労働時間の定め
労働基準法は、使用者は従業員に1日8時間および1週間40時間を超えて労働させてはならず(法定労働時間)、毎週少なくとも1回の休日(法定休日)を付与しなければならないと定めている。
ただし、時間外労働を行う必要がある場合、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出れば、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせたり、法定休日に労働させたりできる。
■時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制については、働き方改革関連法による改正労働基準法により法定化されている。原則として月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることができない。
臨時的な特別の事情があり、労使が合意した場合(特別条項)でも、▽時間外労働が年720時間以内▽時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満▽時間外労働と休日労働の合計について、2~6カ月の範囲で複数月の月平均80時間以内▽時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回が限度―を守らなければならない。
ただし、災害復旧や復興事業に従事する場合は「複数月の月平均が80時間以内」「単月100時間未満」の規定は適用されない。
違反した場合は罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられることもある。
■上限規制への対応
このように、上限規制が法定されたことにより企業では次の段階として、36協定で定めた内容を遵守するため、日々の労働時間を管理する必要がある。
また、この上限規制に対応するため、費用発生の場合は国の助成金が準備されているので、その活用も検討に値する。
その上で、長時間労働を改善するには、適正な工期の確保、4週8閉所の実現、柔軟な働き方の理解、設計変更などによる工期延長―など、工事を発注する側の協力も不可欠となる。
国土交通省では、建設業働き方改革加速化プログラムを策定し、▽長時間労働の是正に関する取り組み(週休2日制の導入推進、発注者の特性を踏まえた工期設定など)▽給与・社会保険に関する取り組み(適切な賃金水準の確保、建設キャリアアップシステムの稼働、能力評価制度など)▽生産性向上に関する取り組み(積極的なICT活用、仕事の効率化、重層下請構造の改善など)―などに取り組んでいる。