【SAGA建設技術フェア2022】特別インタビュー
業界の魅力とやりがいを発信 /佐賀県建設技術支援機構 王丸義明理事長に聞く
2022年06月09日(木)
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◆3年ぶりの開催にあたり、理事長の思いをお聞かせください。
技術者同士が対面で交流できる場を提供することが有意義だと考えていますので、感染症対策を徹底し、成功させたいと思っています
会場では計画・測量・調査・設計・施工など建設に係るすべての分野の情報が凝縮され、貴重な工事発注者側の話を聞ける機会もあります。学生の方には将来に向かうための情報の一つとして活用して頂きたい。
建設業界を志す学生の中には、自分の希望する分野が漠然としている方もいらっしゃるでしょう。ぜひ会場に足を運んで頂き、自分がやりたいと思うことを発見してもらいたいですね。
◆幅広い事業を展開されている佐賀県建設技術支援機構について教えてください。
半世紀前の1967年に(社)佐賀県建設コンサルタントが設立されました。当時は今のように民間の建設関係業者が育っておらず、行政が自ら測量・設計まで行っていたと聞いています。その頃も佐賀県内は災害が多く、行政への支援を行う組織が必要だったことから社団法人を作りました。その後、1982年には(財)佐賀県土木建築技術協会となり、2013年には佐賀県から認可を受け、公益財団法人となりました。
支援機構は本所、材料試験センター、建築確認事務所で構成されており、昨年8月には新社屋が完成しました。本所の主な業務は、自治体の公共事業での積算、工事監督や橋梁点検の一括発注支援などです。
また自治体および民間の技術者向けの研修会を開催しており、技術者の育成に努めています。
このほか材料試験センターでは県からの委託を受け、コンクリートやアスファルトの建設材料の試験を、建築確認事務所では県から審査機関として指定を受け、住宅やアパートの建築確認検査などの業務を行ってます。
◆新技術の開発・導入に関連した機構の取り組み、また新技術のメリットなどについての見解をお聞かせください。
支援機構の取組みとしてはi―Constructionなど新技術の情報発信が主になります。今回のフェアもそうですし、研修会などでも国土交通省が運営する情報データベース「NETIS」に掲載されている技術の情報提供を行っています。
新技術は特性に応じて、コスト縮減や効率化が図られるなど様々なメリットがあり、建設業に与える影響は大きいでしょう。
まずひとつは効率化、省力化というところで働き方改革に直結します。建設業も週休2日制を2年以内には実現しなければならず、そのためにはi―Constructionの導入が必要だと思います。
よく建設業は「3K」だと言われますが、ここをi―Constructionで変えていかないといけない。「きつい」とか「きたない」とか言われる業界に入りたい人は少ないでしょう。しっかり週休2日がとれるようになると建設業は変わります。
ふたつめに業務のやり方です。例えば図面から画像に変えてわかりやすく説明したり、遠隔臨場で時間を有効活用したり出来るようになる。その中で業務のやり方は大きく変わってくるでしょう。
i―Constructionはまだ途中で、これから更なる発展が期待できます。すでに5Gの先の6Gが開発中ですし、それが出てくれば、我々の業界はもっと変わっていけると思います。
◆建設業界では担い手不足が課題に挙げられ、入職者を増やし育成していくことが求められていますが、理事長のご意見をお聞かせください。
必要なのは業界に興味をもってもらい、魅力とやりがいを感じてもらうこと。そのための情報は、このフェアでも発信していきたいと考えています。
人材確保のために何が決め手となるかはわかりませんが、やはり「3K」だけはなくさなければ人は集まってこないでしょう。
また人材育成も大事です。支援機構の方では一般技術研修のほか、施工管理・下水道・舗装など高度な専門技術研修も実施していますので、育成のお手伝いをさせて頂ければと思っています。
◆近年は大きな災害が頻発していますが、この状況に対する理事長のお考えをお聞かせください。
災害時の2次災害防止のためにICT施工の推進が必要ではないかと考えています。災害現場での作業は、2次災害の危険が伴います。このような時、無人機を導入できれば安全に作業が出来ます。
迅速に対応をしてくれる業者のみなさんも、危険と隣り合わせの災害現場では恐怖を感じるでしょう。無人機ならば最悪人命は守られます。
建設業者のみなさんには災害時に、応急対応や冠水対策など多大な貢献をして頂いております。まさに地域にとってなくてはならない存在ですね。
国は21年度より「防災・減災・国土強靭化のための5か年加速化対策」を策定しました。支援機構は、風水害や大規模地震等への対策支援業務を通じて、安心して住める安全な町づくりのために貢献していきます。