【SAGA建設技術フェア2019】開催にあたって共催者メッセージ /県土整備部長・逢坂謙志氏 /NPO法人技術交流フォーラム理事長・小野龍太氏
2019年06月06日(木)
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■建設業の魅力を知ってもらう機会に
県土整備部長 逢坂謙志氏
「SAGA建設技術フェア2019」の開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
建設業は地域に根差し、社会資本の整備等により地域の発展や雇用の創出を担うとともに、地域の安全・安心な生活を支える重要な産業です。
近年、自然災害は激甚化の傾向にあると言われており、昨年7月の西日本豪雨では、佐賀県内で初めて県内全域に大雨特別警報が発令され、県内各地の道路では冠水やがけ崩れ、路肩の崩壊等、多大な災害が発生し、その際の崩土の除去、倒木の撤去等、迅速な対応に、改めて建設業の重要性を認識したところです。
しかしながら、近年の建設業においては若年技能者をはじめ、労働力不足が喫緊の課題となっており、今後とも適切なインフラの整備と維持管理・更新を行うためには、生産性、施工効率の向上と担い手の確保が求められています。
県では、今年3月からICT活用工事の試行を始めており、ICT活用の更なる取組を進め、技能者一人一人の生産性を向上することで企業の経営環境を改善し、建設労働者の賃金水準の向上を図ると共に、建設現場の安全性確保を推進することとしています。
また、若手技術者、女性技術者等の担い手確保に向け、今年度から県内建設業の魅力や情報を発信する「建設業担い手確保推進事業」に新たに取り組むこととしております。
更に、労働環境改善の取組の一環として、県土整備部及び地域交流部の発注工事において、週休2日工事の試行も始めたところです。
今回のフェアには「環境」「防災」「コスト縮減」「維持管理」「ICT」の分野を中心に数多くの技術が出展されています。建設技術の発展は、防災や災害対応の向上及び土木・建築の構造物の品質確保、さらには建設産業の生産性向上には欠かせないものです。
フェアを通じて、建設業界はもとより、国をはじめ県や市町が協力して新しい建設技術の開発に努めていくことが、建設業全体の発展に繋がるものと思います。
今回のフェアでは、建設分野の技術開発の現状や新技術、新工法等を紹介するため、建設分野を専攻する県内の高校生や大学生の来場が予定されています。土木・建築の道を目指す高校生や大学生にとって刺激となると共に、建設業界の皆様はもとより、広く一般の方々にも建設業の魅力を知ってもらう機会になると幸いです。
■技術情報の交流を通じて建設業界の魅力発見
NPO法人技術交流フォーラム理事長 小野龍太氏
公益財団法人佐賀県建設技術支援機構主催の「SAGA建設技術フェア」も今回で5回目を迎え、定着してきたと感じています。私たちNPO法人技術交流フォーラムも1回目から共催しています。
当法人は、高度な技術と豊富な経験を有する会員相互の協力により、市民・団体等を対象に、科学技術の分野で助言、支援・協力を行い、科学技術水準の高揚、健全なまちづくり、次世代人材の育成を推進し、社会教育、地域づくり、くにづくり、災害救援、環境の保全などの公益の増進と豊かな社会をつくるために寄与することを目的に、2001(平成13)年8月に設立されました。
現在、技術士など118名の正会員と趣旨に賛同される25団体の賛助会員から構成しており、こうした目的を行うために事業・広報・研修の3つの委員会とその下に会員交流、技術支援、環境、防災、国際、NPO広報、技術士広報の7つの部会を設けて活動しています。具体的には、佐賀県の特徴である軟弱地盤対策としての深層混合処理工法や木杭のマニュアルづくりへの参画などの技術支援、縫ノ池交流への支援や全国一斉水質調査などの環境・地域づくり、河川合同巡視への参加などの防災活動と幅広い活動を行っています。
国民の経済・社会活動や安全・安心を支える社会インフラは、気候変動による災害の激甚化、高度成長期に建設された社会インフラの加速的老朽化、地域活性化や厳しい国際競争への対応など多くの課題を抱えています。社会インフラを担う建設業界の役割は増々重要になっていますが、少子高齢化の進展により本格的な人口減少社会が到来し、担い手不足に直面しています。東北大震災や熊本地震での活動など建設業界への一定の理解は進んだもののまだまだの感があります。
近年、情報通信技術(ICT)の進展は目覚ましく、ICTの進展を背景に、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの活用が進められています。建設分野においても、こうした進展著しいAIやロボットなどの技術を活用することで、生産性の向上を図り、安全で働きやすい労働環境を改善する動きが本格的に始まっています。
「SAGA建設技術フェア2019」では、防災・コスト縮減・環境・ICT・維持管理の分野別に、こうした課題に対応した新技術や佐賀の技術が展示されています。また、最近の話題をテーマにした特別講演などがあります。このフェアに多くの方が参加され、技術情報の交流を通じて、建設分野における生産性の向上、建設業界の魅力発見、社会インフラの果たす役割などの理解につながることを期待しています。