【SAGA建設技術フェア2019】特別インタビュー /佐賀県建設技術支援機構・西村平理事長に聞く「最新の技術情報を発信」
2019年06月06日(木)
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今年で5回目となる「SAGA建設技術フェア2019」が12、13日の両日、佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&マリトピアで開催される。会場では県内外より46の企業・団体がブースを出展。環境・防災・コスト縮減・維持管理・ICT・佐賀の技術の6分野で最新技術や新工法を紹介する。特別講演や若手、女性技術者による発表も行われる。主催者の(公財)佐賀県建設技術支援機構の西村平理事長に、フェアの目的などを聞いた。
―技術情報の交流の場を提供し、建設業界の魅力や社会資本整備の必要性を発信してきたSAGA建設技術フェアも、今年で5回目の開催となります。フェアの開催にあたり、理事長の思いをお聞かせください。
SAGA建設技術フェアは2015年から始まり、今年で5回目の開催となる。これまで、延べ151の企業・団体が出展し、来場者数は6836人となっている。回を重ねるごとに右肩上がりで来場者数が増えており、今年も多くの方に来ていただきたい。特に今は担い手不足が課題となっている。将来、業界の担い手となる理工系の高校生、大学生にはフェアで最新の技術を見てほしい。
フェアの開催ごとに来場者、出展者からアンケートに回答してもらっている。来場者からは、それぞれの技術を融合して新しい技術を生み出す機会にしてほしいと、期待を頂いている。出展者からは、学生の来場者が多く、さらに参加が増えてほしいという回答もあった。今後も開催の効果が出るよう、フェアの内容を工夫していきたい。
―研修事業をはじめ、県や市町の技術者支援など、幅広い事業を展開されている佐賀県建設技術支援機構について教えてください。
1982年11月に、前身の(財)佐賀県土木建築技術協会が設立された。2013年には佐賀県から認可を受け、公益財団法人となった。
現在、機構は本所、材料試験センター、建築確認事務所で構成されている。本所の主な業務は、自治体の公共事業での積算、工事監督や橋梁の一括発注支援など。これらの業務を土木建築に関する技術職員が行い、発注者の業務を支援している。このほか、自治体および民間の技術者向けの研修会を開催しており、技術者の育成に努めている。材料試験センターは、県からの委託を受け、コンクリートやアスファルトの建設材料の試験を行っている。建築確認事務所は県から審査機関として指定を受け、住宅やアパートの建築確認検査、構造計算適合性判定や住宅性能評価などの業務を行っている。
機構は、自治体が発注する公共事業の支援業務を行っている県内で唯一の公益財団法人。県民が安全に、そして安心して住める町づくりのために貢献している。
―建設業界では、i―Constructionなど新技術の開発・導入が進められています。新技術の開発・導入に関連した機構の取り組み、また新技術のメリットなどについての見解をお聞かせください。
機構では、新技術や新工法に関する情報を集めるため、講習会、学会に職員を派遣している。機構で開催している研修会でも、講師を招いて新技術や新工法の事例を発表してもらい、情報発信につなげている。
人手不足のなかで、省力化と生産性を上げる必要がある。建設現場の需要に合った新技術の開発・導入が、求められている。
機構では、今後も情報発信に力を入れて新技術の発展に寄与していく。フェアでもICTのブース、佐賀の技術のブースを設けており、最新技術や地域独自の技術を目にしてほしい。
―建設業界では担い手不足が課題に挙げられ、若手、女性や外国人の入職者を増やし育成していくことなどが求められています。担い手不足の解決に向けての、理事長のご意見をお願い致します。
日本の生産年齢人口は減少しており、担い手不足が課題となっている。国は、2016年を生産性革命元年に位置づけ、建設産業では25年度までに生産性を2割向上という目標を掲げている。そのためには、ICTやi-Constructionを推進する必要がある。
一方で、担い手そのものを増やしていくことも考えなければならない。昨年に出入国管理法が改正され、外国人労働者の受け入れが拡大された。並行して、若手や女性の担い手を確保するために環境を整えていくべきだと考えている。
建設業界では労働状況の改善で、従来の3Kのイメージも払しょくされつつあると感じている。給料が良く、休日が取れ、希望の持てる新3Kに向けた取り組みも進められている。魅力ある業界になり、担い手不足解消につながってほしい。
―出展ブース分類の一つでもある防災も、建設業とは関係が深いテーマかと思います。地震などの災害が頻発するなか、建設業界が担うべき役割などについての考えをお聞かせください。
昨年は豪雨や地震など自然災害が多い一年だった。県内では、梅雨末期の豪雨により山間部での被害があった。国では、国土強靭化対策を掲げ公共事業に予算を多く組んでいる。国土強靭化にあたっては、建設業界が重要な役目を担っている。
また、高度経済成長期に整備された橋梁などのインフラの多くが、老朽化している。これらインフラの長寿命化対策にも、建設業界が必要とされている。
このほか、災害時の応急対応や鳥インフルエンザなどの防疫活動でも建設業界が貢献している。建設業界は地域の守り手として、なくてはならない存在。今後とも、業界の発展と活躍を願っている。