【行政トップインタビュー】
《新設》有明海沿岸国道事務所 福崎昌博所長に聞く /佐賀県側の整備促進見据え
2019年08月08日(木)
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整備が進む有明海沿岸道路(以下、沿岸道路)。今年4月に、その整備と維持管理を目的とした有明海沿岸国道事務所が新設された。佐賀・福岡・熊本の3県にまたがり事業を展開する国道事務所は、九州管内では初となる。初代所長に就任した福崎昌博氏に事務所の役割や今後の抱負などを聞いた。
―有明海沿岸国道事務所設立の経緯や目的などを教えてください。
沿岸道路は有明海に沿って佐賀・福岡・熊本で整備される約55㌔の地域高規格道路です。そのうち国において整備する直轄区間は、佐賀県内の沿岸道路に関わる事業は佐賀国道事務所、福岡県内は福岡国道事務所が所管していました。2003年に福岡国道事務所・有明海沿岸道路出張所が設置され、沿岸道路整備に係る事業を担ってきて、現在は福岡県内において約24㌔の供用区間があります(※1)。今年の4月から新たに佐賀・福岡・熊本の3県にまたがる区間の事業推進体制の強化と、供用区間の管理を行うため、有明海沿岸国道事務所が新設されました。
【※1】佐賀県内は嘉瀬南IC―芦刈南IC間の約6・5キロを佐賀県にて整備して供用済み
―初代所長就任にあたっての抱負や意気込みなどをお聞かせください。
各県の事務所で行ってきた大規模な整備事業を引き継ぐことになるので、まずはこれまで各事務所が培ってきた信頼を損なわないようにしていきたい。地域から信頼され、理解を得られる事務所でありたいと思っています。そのためにも、首長をはじめ地元としっかりとコミュニケーションをとっていきます。
現在、整備している大川東IC―大野島IC間を20年度に供用開始すると公表しています。それを実現することが目の前の具体的な目標です。そして、佐賀県側の供用区間の拡大に向けた事業に取り組んでいきます。
あと、事務所の体制については、風通しのいい、これまでの慣例にとらわれない職場を目指します。25人の少数精鋭ではありますが、しっかりと皆さんの期待に応えていきます。
―事務所新設以降の変化などあれば教えてください。
これまでの工事を引き継いでいますので、大きく激変したというものはありません。ただ、大規模な工事ですから進捗が動きとして目に見えてきます。例えば、現在上部工の架設工事を行っている筑後川橋(仮称)と早津江川橋(仮称)です。4月ごろはどちらもまだ渡河部で補剛桁がつながっていませんでした。今では筑後川橋(仮称)において、補剛桁がつながりアーチリブを架設するところまできています。こうした進展を日々目にすることで、沿岸道路が着実に完成に向かっていることを実感できます。
供用区間の管理という点では、災害時の対応も見据えた管理体制の構築を早い段階で行い、それに基づいた事務所内の訓練を実施しました。供用済みの一部区間が風水害によって被災したという想定で、どのように対応するべきかなどを、模擬訓練を通して具体的に詰めていきました。
それ以外に安全についてですが、事務所で初めて6月下旬に工事受注業者も含めて有明海沿岸国道事務所安全大会を実施し、全ての現場での工事事故ゼロを目指しています。
―佐賀県や近隣の建設業の皆さんへメッセージをお願いします。
建設業は地域インフラの整備と維持管理の担い手であり、かつ災害時は地域の安全・安心を確保する地域の守り手として、なくてはならない存在だと思っています。
働き方改革への対応に向けて、生産性の向上、週休2日の推進、若手技術者や女性技術者が働きやすい環境の整備など取り組むことは多いですが、お互いに協力して地域に貢献していきたいと考えています。また、工事に新しい技術やICTなどの技術を積極的に活用していきたいと考えています。
沿岸道路整備の現場では学生や地域の方々の見学会などを積極的に行ってきました。今後も継続して、建設業の担い手確保の助けになればと思っています。
有明海沿岸国道事務所ができた大きな目的は、沿岸道路の整備促進を強化することにありますので、今後の佐賀方面への事業展開なども踏まえ、更なる事業推進に努めていきます。