特集記事

若手技術者に聞く『建設業の魅力』

2019年01月01日(火)

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人物

松尾建設 今泉郁也さん

山﨑建設 市丸竜之介さん

牟田建設 末次真備さん

中野建設 田代大樹さん

 建設業に従事する技能者の約3分の1が55歳以上となり、他の産業と比べても高齢化が進んでいる。このような中、業界が持続的な発展を果たすためには若手技術者の育成が必要であり、重要な課題となっている。県内の建設企業で働く若手技術者は建設業をどう感じているのか。入職して数年が経過した若手技術者に建設業の好きな所や魅力などを聞いた。



■松尾建設㈱ 今泉郁也さん『形に残る仕事』


―建設業の好きな所
 自分の携わった現場が形として残る所で、毎日工事が進み、構造物が出来ていくのが楽しい。下請けの職人さんなど、普段の生活では関わることの少ない色々な人と接することが多く、新しい人間関係が出来ていくのが魅力だと思う。
―印象に残っている事
 最初の現場で橋を作った時、どういう方法で作っていくのか想像もつかなかったが、工法も含め、川の中に橋脚を作っていく工程を見て驚きを感じた。また、自分が思っていた以上に現場が色々な職種の人で成り立っており、各現場でいろいろな人と知り合い、人間関係を構築することが難しいけど、楽しい。
―仕事で困った事や辛かった事
 今はある程度分かるが、最初は何も分からずに言われたことをただやるだけだった。自分ひとりに任されるようになった時は試行錯誤してどうすれば上手くいくかを考えた。迷うこともあるが、迷った時は上司や先輩に相談し、その返答を基に自分なりの考えで仕事をしている。
―建設業を目指す学生に一言
 国でも橋銘板に技術者の名前を残そうとしていて、形に残る仕事に携わることが出来るのが、建設業の一番の魅力。今後はICTや情報化施工などで、人手不足に対応できる柔軟な考え方が必要になってくる。
―建設業の魅力
 工場生産と違い、現場でつくるものなので、同じものは存在しない。良いものを造るために押さえるべき所を理解し、管理する者として大事な所を見落とさずに良いものを造り続けたい。この業界はずっと勉強だと思う。

【略歴】
 いまいずみ・ふみや 2016年3月佐賀大学理工学部都市工学科卒、同年4月松尾建設㈱入社。有明海沿岸道路の橋脚工事、武雄西川登太陽光発電所造成工事などに従事。趣味はJ1サガン鳥栖や弟が出場した高校サッカーなどのスポーツ観戦、犬の世話。気晴らしに愛犬を連れて小城公園を散歩している。小城市在住。25歳。




■㈱山﨑建設 市丸竜之介さん『誇りある仕事』


―建設業の好きな所
 現場監督として、様々な職種の職人や近隣住民の人たちとコミュニケーションをとりながら工事を進める所が好き。工事に関する事だけでなく、世間話などで人間関係やお互いの信頼が高まり、より良いものを造り上げることは楽しい。
―印象に残っている事
 会社に入って初めて完成まで携わった現場が武雄市の国道498号若木バイパス道路改良工事だった。当時は入社して間もなく、道路がどのように造られているのか知らなかったが、毎日の作業で少しずつ現場が進み、工事が完成した時の感動は今でも印象に残っている。
―仕事で困った事や辛かった事
 とても寒がりなので寒いと動きたくなくなる。重ね着で寒さ対策はしているが、手足の先や耳が冷たくなるため、5年目になった今でも冬の寒さは苦手。
―建設業を目指す学生に一言
 自分が携わった道路や橋など、造ったものが地図や後世に残り、多くの人の生活の一部となるなど、とても誇りのある仕事。大変なことも多々あるが、工事が完成した時の達成感や、やりがいは他の職種ではなかなか味わえない。ものづくりが好きな人、やりがいを感じたい人はぜひ建設業を目指してほしい。
―建設業の魅力
 現場では色々な職種の職人や違う年代の人と触れ合う機会が多く、とても勉強になり、人脈も広がる。また、建設業には様々な工事現場があり、新しい現場に就けば、初めての連続で毎回新鮮な気持ちで取り組むことができる。工場のように大量生産されるものでなく、様々な条件のもとで構造物を造るため、やり方次第で現場の流れが大きく変わってしまう。毎日が試行錯誤で大変な時もあるが、様々な問題を乗り越えてやり遂げた時の達成感は素晴らしいと思う。

【略歴】
 いちまる・りゅうのすけ 2014年3月佐賀農業高校卒、同年4月㈱山﨑建設入社。国道498号若木バイパス道路改良、国道497号西九州自動車道整備などに従事。趣味は中学校からやっているハンドボールで、社会人チームで活動している。週に1回練習し、年に2―3回は大会にも出場している。小城市在住。22歳。




■牟田建設㈱ 末次真備さん『魅力は達成感』


―建設業の好きな所
 工事を進める中で、色々な問題や地元との対応を解決し、工事が終了した時に達成感がある。また、嘉瀬川改修の現場で、ブロックマットの施工延長が長くて大変だったが、工期内に工事を終えることができて達成感があり、建設業の魅力を感じた。
―印象に残っている事
 現場ではまず施工前の写真を撮るが、完成写真と見比べると様々な感情が湧いてくる。構造物が着々と形を見せ、自分が施工に携わった現場が完成し、立派な構造物が出来上がると、施工前の風景と随分違うことが多く、印象に残っている。
―仕事で困った事や辛かった事
 外での仕事なので季節の変わり目、夏や冬の気候に慣れるのが大変だった。今はだいぶ慣れてきたと思う。
―建設業を目指す学生に一言
 工業高校出身なので、高校で土木の勉強をしている人は建設業に入ると、学校で勉強したことが役に立つので、土木に興味を持って勉強してほしい。土木をもっと知りたい人はぜひ建設業に入ってほしい。
―建設業の魅力
 他の現場ではICTや情報化施工などを導入している。まだ、自分では経験していないが、今後主流になると思うので、そこに魅力を感じている。

【略歴】
 すえつぎ・まび 2012年3月鳥栖工業高校卒、同年4月牟田建設㈱入社。田手川河川改修、切通川河川改修などに従事。趣味は健康維持のためのランニング。週に1回は走っている。神埼市在住。22歳。




■㈱中野建設 田代大樹さん『皆で一緒に造る』


―建設業の好きな所
 完成した時に地域の人から「綺麗になった」と言葉をかけてもらったことが嬉しかった。構造物の図面を見ながら、作業員と一緒に構造物を造り上げていく所が好き。
―印象に残っている事
 クリーク護岸改修の現場で地盤改良の必要があり、粉じんが発生しないセメントと軟弱地盤を撹拌したのが印象に残っている。また、当たり前だが現場での安全に対する意識の高さに驚いた。
―仕事で困った事や辛かった事
 図面の内容を読み取って指示を出す時に間違えたり、失敗することがあるので、そのせいでやり直しが必要になる時は申し訳ない気持ちになる。
―建設業を目指す学生に一言
 大学で研究室に入り、土木に関する研究をしていたので、学生の頃は真面目に勉強した。実際に現場に出た時、知っている言葉や知識が出てくるので、建設業に興味のある人は学校の勉強を頑張れば知識の幅が広がると思う。
―建設業の魅力
 現場の近況報告の写真を撮る時に、景色が変わり、構造物がだんだんと出来上がっていく様子が分かるので、それが魅力。現場では職人や資材関係者との接点が増え、横のつながりが広がることも魅力で、現場はいろいろな意味で自由度が高いと思う。

【略歴】
 たしろ・だいき 2016年3月九州産業大学卒、同年4月㈱中野建設入社。筑後川下流右岸農地防災事業、神埼高校移転改築造成工事などに従事。趣味はドライブで、行った先でおいしいものを食べている。佐賀市在住。23歳。





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