【現場から】
嬉野市中央体育館等建設工事 /「使う人に喜んでもらえる施設に」 /㈱上滝建設の筒井勝紀氏に聞く
2019年01月01日(火)
特集記事
その他
嬉野市は、同市嬉野町下宿乙の旧嬉野小学校跡地に嬉野市中央体育館、うれしの市民センターを建設している。総工費約13億円、2019年4月1日にオープンする予定で、同市ではスポーツ合宿や2020年東京オリンピックの海外チーム合宿の誘致活動に力を入れる方針。両施設の建築工事を施工する上滝・大川内特定建設共同企業体の現場代理人筒井勝紀氏に現場の施工状況などを聞いた。
■嬉野市はスポーツ合宿の誘致推進
嬉野市中央体育館は鉄筋コンクリート(一部鉄骨)造2階建て・延床面積約3760平方㍍の建物で、メインアリーナ、サブアリーナ、シャワールームなどを備える。バレーボールやバスケットボール、卓球などの室内競技ができる仕様となり、2023年の佐賀国民スポーツ大会ではなぎなた、レスリングの会場となる予定。
同市ではスポーツ合宿の誘致を推進しており、床材にクッション性に優れ、膝や腰の負担が少ない「タラフレックス」という素材を導入する。バレーボール、卓球、バトミントンの国際大会で使われる素材で、2020年東京オリンピックの海外代表チームの事前合宿誘致活動にも力をいれていく方針だ。
うれしの市民センターは木造平屋・床面積約795平方㍍で、生涯学習や地域コミュニティ活動で使える施設となる。嬉野公民館の機能のほか、会議室や調理室などを備え、体育館と渡り廊下で連結する。
◇ ◇ ◇
昨年11月末の工事進捗率が約65%で、大屋根がかぶり、建物の全体像がだいぶ見えてきた。11月末から外壁塗装を始め、2月中旬で建物全体が概ね完成する。2月末に諸検査を行い、素晴らしい体育館と市民センターを完成させたい。
この現場は住宅地に近いので、騒音、振動、ほこりには特に気をつけた。敷地が盛土なので振動がおこりやすく、重機の移動に気を配りながら、車両の移動についても工事現場内は時速5㌔以下に制限した。また、近くに嬉野小学校があるので、大型車両は通勤、通学時間の7時30分から9時までの間は通行制限を設けて工事を進めている。
中央体育館の床には「タラフレックス」という新素材を使用し、安全性を高めている。昨年の夏にこの素材の基準が変わり、タラフレックスが0・5㍉厚くなった。床に直接タラフレックスを施工するのは県内の施設でここが初めてとなり、たぶん、全国でも珍しいと思う。
仕事に対しては安全に無理のない工程で工事を進めれば、良い品質のものができると考えている。また、設計図で見えない部分を現場の職員で共有し、使う人のことを考えながら器具の高さや、納まり具合などを検討し、品質の高い施設になるよう努めてきた。
これまで、佐賀市の佐賀バルーンミュージアムの改修、佐賀県立美術館の大規模改修、佐賀総合運動場メインスタンドの耐震化、嬉野市のうれしの茶交流館「チャオシル」の建設など、県内の大型事業に携わり、新聞やテレビで取り上げられることが多かった。それを見て、子ども達が「お父さんが作った建物だ」と言ってくれることが、仕事の活力となっている。
また、佐賀総合運動場のメインスタンドには「SAGA」の文字が入っているが、これも筒井さんが意匠したもので、グーグルマップで上空から確認できることに感銘を受けている。
自分の思い描いた通りに仕事が進まないこともあるが、現場のみんなで意見交換しながら、どうすればよいかを考えて改善を図っていく。みんなで建物を作っていることを感じ、自分が住んだり、使ったりするという思いで、仕事をすれば愛着が沸いてくる。土木も建築も形として残ることが魅力で、工事が終わった後に喜んでもらえることが嬉しい。
この現場でも「みんなで知恵を出し合い、使う人に喜んでもらえる良い施設にしたい」。