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唐津市本庁舎建築に着工

2020年度 佐賀県内事業展望

2020年01月01日(水)

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唐津市新庁舎イメージ

鳥栖市新庁舎外観イメージ(南面)

佐賀県市町会館の外観イメージ

 佐賀県内の自治体などが計画している主要事業をピックアップした。唐津市本庁舎建設、鳥栖市新庁舎建設、佐賀県自治会館移転改築、鹿島市民会館改築、佐賀県食肉センター再整備などで2020年度から建築工事が始まる見通し。また、唐津市民会館改築に向けては基本計画の策定を推進する。


■唐津市本庁舎建設■

  ~7月の着工目指す


 建設地は既存市役所の敷地内(唐津市西城内1番1号)で、敷地面積は1万6012平方㍍。規模は鉄骨造(免震)7階建て・延床面積1万7016平方㍍(ひさし部分含む)となり、機械式駐車場と議会棟跡地に新庁舎を建設する。


 新庁舎については▽機能性と利便性が高い▽効率的で経済性が高い▽市民の安全・安心を支える▽景観に配慮したまちづくりの拠点となる―の四つを基本方針として掲げ、市民の利用頻度が高い窓口機能を1階、2階に配置し、分かりやすいサイン、ユニバーサルデザインに配慮。また、環境負荷低減や省エネルギーに配慮した設備の導入によりランニングコストの縮減に努め、大地震の際にも行政機能を継続できる免震構造を採用する。


 各階のフロア構成は1―2階に窓口部門を効果的に配置し、3階には防災機能と庁舎内の総合管理部門を設置。4―5階は執務ゾーン(都市整備部、財務部、農林水産部、水道局など)となり、6階には議会機能やラウンジ、テラス、7階に機械設備などを配置する。
 また、閉庁の際にも利用できるまちづくりホール(多目的ホール)や大会議室、市民ラウンジ、屋外テラスを設けており、様々なイベントなどでの活用を想定している。


 敷地内には新庁舎のほか、新庁舎北側に機械式駐車場を整備し、新庁舎東側には、お祭りやイベントの開催、災害時の駐車場としての活用を想定した(仮称)にぎわい広場を設置する。


 2018年度末に同事業の実施設計が完了しており、現在の計画では20年4月から庁舎本体工事の入札手続きに入り、6月定例議会で工事契約議案を審議し、7月の着工を目指す。工期は約23カ月を見込んでおり、22年8月に新庁舎の供用を開始する予定。
 事業費に関しては17年1月策定の基本計画で約75億円を見込んでいたが、資材価格や人件費の上昇により、約90億円に増える見通し。



■鳥栖市新庁舎建設■

  ~近く実施設計が完了


 新庁舎の建設地は現庁舎のある同市宿町1118番地などで、全体の敷地面積は3万0692平方㍍。現庁舎を使いながら新庁舎を建設するため、新庁舎は現庁舎の北西にあるグラウンド内(約8500平方㍍)に設置する。


 基本設計によると、新庁舎本館の規模はプレキャストコンクリート造(PCa造)3階(一部4階機械室)建て・延床面積1万0360平方㍍で、各階の床面積は約3300平方㍍となる予定。1階に市民利用の多い窓口部門を配置し、2階に執務部門や危機管理室、3階に議会機能を設置する。また、本館の北側には鉄骨造2階建て・延床面積1400平方㍍の北別館を整備し、倉庫や車庫、書庫などを配置する。


 本館は耐震安全性の確保に加え、大規模地震後の災害対応や復旧・復興活動の拠点となるため、免震構造を採用。専門工場でコンクリート製品(梁、柱、床)を製作して現場へ持ち込んで組み立てる工法(プレキャストコンクリート造)のため、工期の短縮が期待できる。また、構造形式は耐震壁のない柱や梁で構成する純ラーメン構造となり、将来のレイアウト変更に対応できる構造形式となっている。


 本館の東側には世代を超えて多くの市民が楽しく利用できる多目的広場を設け、災害時には屋外支援活動拠点や臨時ヘリポートとして活用する。一般駐車場は現行の1・2倍となる約520台分を整備し、屋根付きの通路を設けて雨に濡れずに庁舎まで移動できるようにする。


 近く、実施設計が完了する見通しで、今後、工事費などの予算を計上して入札準備に入る予定。基本設計時点の概算事業費は約65億9000万円を見込んでいる。


■鹿島市民会館改築■

  ~20年度にも着工


 現在の市民会館を解体し、新鹿島市民会館(仮称)を建設する。構造は鉄筋コンクリート造4階建て・延床面積約2600平方㍍となり、ホールや民俗資料館として使用。ホールは客席側と舞台側をループ状に接続し、客席と舞台を往来する人の動線をつくる。20年度から建築工事に着工し、21年度中の完成を目指す。総事業費は約20億円を見込んでいる。


 このほか、鹿島市は鉄筋コンクリート造5階建て・延床面積約6952平方㍍の市庁舎(1979年建設)の耐震診断を行っており、1月中に診断結果が判明する予定。その結果をもとに今後の方針を検討する。



■佐賀県自治会館の移転新築■

  ~5月にも着工


 県自治会館は地方自治振興の中核拠点として、各市町村の施策に関する情報交換、連携の強化、市町村議員および職員の研修、福利厚生事業の推進などを目的に1966年に建設。建築から53年が経過し、建物やエレベーターの老朽化、耐震化などの課題を抱えているため、施設の建て替えを実施する。


 移転先は佐賀市堀川町1の5の税務署跡地で、敷地面積は約3136平方㍍。施設の名称を佐賀県市町会館(佐賀県市町職員研修センター)に変更し、鉄骨造3階建て・延床面積約1990平方㍍の新施設を敷地北側に建設する。敷地南側には約61台分の駐車場を確保し、多布施川との調和を考え、敷地内の北東部分に緑地帯を設ける。


 建物の杭基礎にはプレボーリング拡大根固め工法(高支持力認定工法)を計画しており、建物構造には大スパンの空間を形成できる鉄骨ラーメン構造を採用して仕事効率の高い執務室や最大120人規模の研修室を設置する。耐震性能は「Ⅱ類・B類・乙類」とし、職員の安全を確保するとともに災害対策のバックアップ施設として活用する。


 県市町会館の1階には町村会・議長会・総合事務組合や消防協会、2階に市町村職員共済組合、3階に市長会・市町村振興協会がそれぞれ入り、特別会議室、貸会議室、研修室などを設置する予定。


 2019年度内に基本・実施設計(㈱原田設計が担当)を終え、同年度に移転先にある事務所(鉄筋コンクリート造2階建て・延床面積約1164平方㍍)などの解体工事を実施。20年5月ごろから新施設の建設工事に着工、21年2月の施設完成を目指す。21年度に現在の自治会館(鉄筋コンクリート造地上4階・地下1階建て、延床面積約2275平方㍍)の解体設計を行い、10月ごろから解体工事に入り、同年度内に完了する予定。



■唐津市民会館改築■

  ~33-24年度で建設工事


 1970年に建設された唐津市民会館(同市西城内6の33)は鉄骨鉄筋コンクリート造4階(地下1階)建て・延床面積7539平方㍍で、建設から49年が経過して耐震不足や設備の老朽化が進行しているため、現在地で改築する。また、併設の曳山展示場についても市民会館改築と合わせて整備を行う方針。


 現在の計画では、新施設の規模は客席800―1000席、駐車場400台(専用駐車場150台)の確保を基本とし、施設の複合化については市民会館と曳山展示場の建設当初の建築用途(公会堂、展示場、会議室、結婚式場)の範囲内で検討する。


 現在の事業スケジュールでは、2020年12月に基本計画を策定し、21―22年度の2カ年で解体工事(工期21カ月)、基本実施設計業務を行い、23―24年度の2カ年で新施設の建設工事(工期約20カ月)を施工する予定で、25年4月の開館を目指している。



■嬉野市庁舎整備■

  ~検討委で今後の方針議論


 同市は06年に嬉野町、塩田町が合併して以降、旧役場を市庁舎として活用してきた。嬉野庁舎は鉄筋コンクリート造地下1階、地上3階建て・延床面積3371平方㍍で1962年に第1庁舎が建てられた。経年劣化による老朽化が進み、81年以前の旧耐震基準で建築されたため、耐震性能も不足している。


 このため、市は塩田庁舎(鉄筋コンクリート造5階建て・延床面積4081平方㍍、1993年建設)を含め、今後の両庁舎のあり方を検討するため、昨年11月に検討委員会を設置。嬉野庁舎については現地での建て替え、移転、塩田庁舎への統合など、今後の方針を議論する。


 現在の計画では2020年7月ごろまでに委員会の報告書をまとめ、市長に提出する予定。



■みやき町天建寺団地移転改築■

  ~21年度から造成工事に着手


 天建寺団地は町立三根東小学校の南西にあり、コンクリートブロック造2階建ての12棟で合計戸数は48戸。いずれの棟も建設から40年程度が経過し、老朽化しているため、移転改築する。


 移転先は現在の団地の東側で、敷地面積は約6100平方㍍。鉄筋コンクリート造の中層住宅1棟・40戸(2LDK20戸、3LDK20戸)を建設する予定。


 現在の計画では19年度に基本設計(㈱石橋建築事務所が担当)を行い、20年度に実施設計、開発申請、建築確認、農振除外、農地転用などの事務手続きを進め、21年度から造成工事に着手、同年度途中から建築工事にも着工し、22年度末の完成を目指す。



■佐賀県食肉センター再整備■

  ~20年度から牛専用施設新築など


 佐賀県は、老朽化などが課題となっている県食肉センター(多久市南多久町下多久)の再整備を実施する。同整備では牛肉の海外市場への販路拡大や販売促進を図るため、牛専用施設の新設と豚専用処理施設の改修を実施する。両施設ともHACCPを基本とした高度な衛生管理に対応しており、現在の食肉センター西側に敷地を造成して牛専用処理施設を新設し、同センターを豚専用処理施設として改修する。
 施設規模は牛専用施設が鉄骨造2階建て・延床面積約5800平方㍍、豚専用施設が鉄筋コンクリート造地上1階、地下1階建て・延床面積約4700平方㍍となる。


 県では19―20年度の2カ年で敷地を造成し、20年度から牛専用施設の新築と豚専用施設の改修工事の一部に着工する。稼働時期は牛専用施設が21年度、豚専用施設が22年度を予定している。


 概算工事費は牛専用施設が31億9000万円(建築12億9000万円、設備19億円)、豚専用施設が14億円(建築3億1000万円、設備10億9000万円)を見込んでいる。


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