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【現場から】

エネルギー回収型廃棄物処理施設建設 /地元に喜んでもらえる良い施設を

2020年01月01日(水)

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南西側全景(11月末撮影)【建築面積:工場棟2259平方㍍、管理棟509平方㍍/延床面積:工場棟3853平方㍍、管理棟991平方㍍】

南東側全景:完成パース

2018年5月の安全祈願祭の様子。㈱ミゾタの井田建社長による杭打ちの儀

水冷ストーカ炉の特徴

菖蒲健二氏

 2020年4月から稼働を開始するクリーンヒル天山。多久市と小城市の一般廃棄物を焼却するエネルギー回収型廃棄物処理施設だ。13年に両市が建設を合意して以来、8年がかりの事業がいよいよ完了間近となっている。
【写真・パース図等提供:三機・ミゾタ特定建設工事共同企業体】


 現在、多久市は多久市清掃センターで一般廃棄物の処理を行っている。しかし施設の稼働から30年以上が経過しており、老朽化が進んでいる。また小城市は一般廃棄物の処理を担っていた天山地区共同塵芥処理場組合が09年度に解散。現在は、(一財)佐賀県環境クリーン財団の中間処理施設(クリーンパークさが)で処理をしている。


 両市ともに現在の処理体制を今後も継続していくのは困難であり、かつ循環型社会の実現に向けて新たな一般廃棄物処理施設の整備が急務となってきたことからクリーンヒル天山の建設が決定。14年10月に天山地区共同環境組合が設立された。建設地の旧ゆうらくの屋外プール跡地を解体、造成を経て17年7月から建築が始まった。


 設計・施工を担当するのは三機・ミゾタ特定建設工事共同企業体。㈱ミゾタ(佐賀市伊勢町、井田建取締役社長)および協力企業7社は代表者の三機工業㈱(東京都中央区、長谷川勉代表取締役社長)が地元企業を中心に選定した。(※1)


 クリーンヒル天山は高い耐久性とダイオキシン類の発生を抑制する水冷式ストーカ炉を2基有し、処理能力は24時間で57㌧の可燃ごみ・可燃残渣を処理することができる。


 19年12月時点での進捗率は90%。計画通りに建設は進んでおり、工事完了を目前に控えている。


【※1】本事業の協力企業7社は次の通り。
 ▽三機化工建設㈱(東京都中央区、高橋裕樹代表取締役)

 ▽㈱中野建設(佐賀市、中野武志代表取締役社長)

 ▽㈱中島工務店(小城市、中島信哉代表取締役)

 ▽モロドミ建設㈱(多久市、諸富公昭代表取締役)

 ▽岡本建設㈱(小城市、岡本秀実代表取締役)

 ▽㈱シグマ(佐賀市、香月信夫代表取締役)

 ▽㈱電興社(佐賀市、堤雄亮代表取締役社長)。


■現場事務所の菖蒲健二副所長(㈱ミゾタ)に聞く

 ごみ処理焼却施設という地元の皆さんの理解が不可欠な施設なので、迷惑をかけず、安心してもらうことを心がけました。たとえば私たちの通勤時間や搬入ルートを小学生のスクールバスとずらしたり、振動防止のために午後5時できちんと作業を終えるなどの配慮を徹底しました。また、地区の区長さんたちに毎月一回、工程表を提出しました。もし住民の方から質問などがあれば工程表に基づいて区長さんが回答できるように工夫しました。ときおり工事の進行状況を尋ねられたりもしましたが、予定通り進んでいると答えることができました。


 17年の9月からこの現場に入りましたが、なにぶん山間部なので平地に比べて風が強い日も多く、冬には道の凍結などもありました。屋外での作業については厳しい一面があり、天候やそのほかの事柄で、思い通りに進まないこともありましたが、そういうときは現場の皆と意見交換し、協力し合ったおかげで、完成が見えるところまでやってきました。まもなく建設と機械設備の工事が完了し、いよいよ試運転です。実際にごみを焼却して調整していくことになり、改めて気が引き締まる思いです。地元の方々に喜んでもらえる良い施設を完成させたいと考えています。

【略歴】
しょうぶ・けんじ。佐賀市出身。佐賀県立佐賀東高等学校卒。㈱ミゾタ勤務歴30年。プライベートではゴルフを勉強中であり、健康維持のため週に1回は走っている。小城市在住。






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