【現場から】
SAGAサンライズパーク /23年国スポに向け、整備進む /アリーナ新設、総事業費540億
2020年01月01日(水)
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佐賀県は、2023年開催の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向けて、総合運動場・総合体育館エリア「SAGAサンライズパーク」の整備を進めている。スポーツに加えコンサートなども開催できるアリーナの新設、陸上競技場、水泳場や総合体育館など既存施設の再整備により、憩い・にぎわいの場の創出を目指す。総事業費は540億、アリーナ建設費は257億円を見込んでいる。
【※イメージ提供:佐賀県】
18年施設計画策定、19年パーク名称決定
県は18年1月に「総合運動場等整備推進本部」を立ち上げた。3月の第2回本部会議で、主要施設となるアリーナと水泳場の大枠について方向性を決定。「日の出」という地名にちなみ、佐賀を光り輝かせていくという意味合いを込め「SAGAサンライズパーク」の名称が提案された。4月の第3回本部会議から施設計画の策定に向けた検討に入り、11月の第6回本部会議で施設計画を決定。SAGAアクアなどの施設愛称も提案された。19年1月の第7回本部会議で、「SAGAサンライズパーク」の名称を正式決定。管理運営はパーク全体を一括して行うことを決定し、指定管理者制度により対応することにした。9月の第8回本部会議で公募スケジュールが示され、20年2月定例県議会後に指定管理者を決定する予定となっている。
陸上競技場など既存施設を再整備
陸上競技場では、国スポ開催に必要な第一種公認陸上競技場の取得に向けた改修を実施する。走路を全天候型舗装へ全面改修し、トラックを9レーンに変更。選手の待機場所や動線も改良する。また、国際陸連の国際規格クラス2認証を取得する方針。このほか、雨天走路の新設、照明設備の改修などを行う。
水泳場は屋内50㍍プール、屋外飛込プールを新設する。屋内50㍍プール棟は、鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)2階建てで、延べ床面積は約9500平方㍍。子どもから高齢者、障害者も安全に利用できるように、利用者に応じ水深を変更できる可動床を導入する。
総合体育館は、17、18年度に空調設備の設置・改修工事に取り組んだ。季節や気温に関係なく快適な環境でスポーツを楽しめるように、機能面を拡充させた。競技場内のフローリングは経年劣化が顕著なため、改修工事を行う。
陸上競技場の第一種公認取得に必要となる第三種公認の補助競技場にするため、第2競技場は全面リニューアルを実施。トラック、助走路のウレタン舗装、天然芝張り替え、写真判定室の設置などを行った。サッカーやラグビーなどに利用する球技場は、人工芝化、夜間照明設置などを完了させている。
ボクシング場・フェンシング場は19年8月に、エアーライフル射撃場は11月に移転新築が完了。「育てる」拠点として練習環境の向上を図った。庭球場は、国スポ開催基準に合わせ、コートを2面増設、砂入り人工芝を全面的に張り替えた。
パーク全体の外構は、歩行者専用の通路や滞留場所となるペデストリアンデッキやテナント棟を整備し、賑わい空間を創出。エレベーター、多目的トイレの設置等により、ユニバーサルデザインにも配慮する。
パーク周辺の交通渋滞を可能な限り少なくするために、ハード・ソフトの両面から対策をとる。アリーナでの大型イベント時には、パーク&ライド、シャトルバスの活用を検討する。駐車場は、現状と同程度の1400台に加え臨時駐車分300台の配置を計画し、駐車場の空き情報の発信を行うなど、交通対策を推進していく。
パーク全体は、防災拠点施設としての活用も検討されている。アリーナは、災害時に輸送拠点としての役割も想定。床はコンクリート仕様で、施設内に直接大型トラックの乗り入れが可能。複数の多目的室を、物資の調整所や休憩スペースとしても利用できる。県は8月の豪雨災害を踏まえ、防災機能のさらなる強化も検討していくとしている。
アリーナ、早期の再公告目指す
アリーナの新築工事は、19年8月に一般競争入札で公告し10月に開札されたが、予定価格を上回っていたため不落。県は11月定例県議会に、アリーナの建設費に増額60億、施工中の水泳場やペデストリアンデッキでの建設費の上振れなども想定し、合わせて65億円を22年度までの継続費として提案した。予算案が県議会で承認され、県は今後速やかに入札再公告を目指すとしている(※2019年12月20日時点)。
施設計画では、アリーナは鉄骨造地上4階建てで延べ床面積約2万9800平方㍍。約8400席の観客席を設ける。床面はポータブルフロア仕様とすることで、コンサートやイベント時にはポータブルフロアを収納し大型トラックの直接乗り入れができる。