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佐賀河川事務所初代所長 亀園隆氏に聞く /城原川ダム建設事業を促進

2020年08月06日(木)

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人物

亀園所長

城原川ダム予定地

MYダムフォトフレーム設置

城原川ダムは堤高約60㍍、堤頂長約330㍍、総貯水容量約355万立方㍍の重力式コンクリートダムで、18年度から建設事業に着手している。今年4月に、その整備と維持管理を目的とした佐賀河川事務所が新設された。初代事務所長に就任した亀園隆氏に事務所の役割や今後の抱負などを聞いた。


 ―佐賀河川事務所設置の経緯や目的などを教えてください。

城原川治水対策のための城原川ダム建設事業促進に向けて、より地域に配慮・密着する体制を確保すること、併せて佐賀平野の治水・利水等に寄与する嘉瀬川ダムや佐賀導水路を一体的に管理することを目的として2020年4月1日、佐賀市内に国土交通省九州地方整備局佐賀河川事務所を設置しました。

 ―初代事務所長就任にあたっての抱負や意気込みなどお聞かせください。

今年の「令和2年7月豪雨」では、九州各地で甚大な被害となるなど、近年、全国各地で豪雨による災害が頻発しています。佐賀県内においても今年の鹿島市等や昨年の県内全域において、甚大な浸水被害が発生しました。また昨年は、嘉瀬川ダムの貯水率が約12%と8月の大雨となるまでは渇水状態でした。このように、気候変動等によって、雨の降り方が極端化しており、洪水被害と渇水被害の両方への備えが重要になっています。
頻発・激甚化する豪雨災害や渇水に備えるため当事務所は、本格化する城原川ダム建設事業を着実に推進するとともに、嘉瀬川ダムおよび佐賀導水路を一体的かつ適切に管理してまいります。このため、佐賀市にある事務所の地の利を活用し、地元の佐賀県、佐賀市および神埼市などの関係機関との緊密な連携のもとで、地域に寄り添って治水・利水インフラの整備と管理に取り組んでいきたい。特に、城原川ダムは今後、水没予定地の皆様に移転をお願いすることになるので、最大限意見に耳を傾けて、ダムができてよかったと思われるものにしたいですし、それも含めて、できてよかったと言われる事務所を目指していきたいと思います。

 ―事務所新設以降の変化などあれば教えてください。

①城原川ダムについては1971年の予備調査以降、長い期間が経過しており、特に水没予定地区やその周辺の住民の皆様には生活再建面で不安を与えています。本年度から用地調査、付替道路の現地調査に着手すべく、5月末から地元への説明会を実施するなど、新たな段階に入っているところ。今後とも地域に寄り添い事業推進を行っていきます。
②管理面において今年の7月には、佐賀導水の全8機場17機で累計980時間のポンプ運転を行い、約1200万立方㍍(福岡PayPayドーム約7杯分)の排水を行い、佐賀平野の内水被害の軽減を図っているところ。引き続き、佐賀導水と嘉瀬川ダムの操作については、治水・利水に対して最大限効果が発揮できるよう万全を期したい。
③嘉瀬川ダムを活用した地域活性化については近年、嘉瀬川ダムへの観光客が増加している。ソーシャルディスタンスを保ちながら、より魅力的な観光スポットになるよう地域とも連携し、魅力ある取り組みを行っていきたい。7月には等身大の「Myダムカードフォトフレーム」を設置したところ。
④職員自らも地域の安全・安心のため、関係機関などとの信頼確保に努めるよう、事務所長や上司に気軽に相談できる雰囲気づくりを作ると共に、職場では「佐河(さが)・弘どう館」と称して、座学や研究発表、外部講師などの勉強会の実施や、流域の方に広く事業を知ってもらい地域活性化にも寄与する広報部、新しい生活様式の一つとして、WEB会議等、日頃の仕事にデジタル化を取り入れ変革を図るデジタル・トランスフォーメーション部の立ち上げなど行っています。これらの座学や会議等は、管理支所や在宅においてもWEB会議で参加できるよう取り組みを行っており、新型コロナウイルスに対する新しい生活様式の中でも知識の向上と業務の効率化、事務所の一体感の推進に力をいれたい。

 ―建設業の皆さんへメッセージをお願いします。

建設業は地域を支える重要な産業。気候変動の影響で豪雨が頻発する中、災害への対応なども含め、その役割はますます重要となってきます。当事務所においては管理区域内で、洪水時の巡視や災害時に迅速に応急復旧対策等に対応できるよう地元の建設会社と協定を結んでいます。地域の地理等を熟知しているからこそ、このような豪雨が頻発する中でも迅速に対応していただけるものと思っております。新型コロナウイルス対応で現場環境の工夫もお互いに協力しながら推進するとともに、若い世代が建設業に入ってくるよう、事務所としても土木の魅力や出来あがったインフラが世の中に役立っていることなどを発信していきたいと考えています。

【略歴】亀園隆(かめぞのたかし)氏

1965年鹿児島県生まれ。89年に入省。17年に川辺川ダム砂防事務所副所長、18年に国土交通省水管理・国土保全局治水課長補佐などを歴任、20年4月より佐賀河川事務所の初代事務所長に就任。

資格:技術士(総合技術監理部門・建設部門)、1級土木施工監理技士












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