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日本建設技術㈱「廃棄物を出さない FWG透保水性舗装工法」 /気化熱で路面温度低下

2021年01月04日(月)

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▲<模式図―2>FWG透保水性舗装(透水性アスファルト)内部構造イメージ

①φ10cmの穴にミラクルソル2mmアンダーを充填

②ミラクルソル2mmアンダーの敷き均し(拡大)

③完成

④縁石の設置完了

⑤コンクリートの上にミラクルソル2mmアンダーの締固め

⑥完成

 日本建設技術㈱(本社・佐賀県唐津市北波多、原裕社長)は、ガラス廃材をリサイクルした多目的環境材料「ミラクルソル」(発泡廃ガラス)を開発している。廃棄物を建設分野で有効利用する「低炭素建設技術」として28工法(緑化、土木、水質浄化など)を提案している。このうち、廃棄物を出さないFWG透保水性舗装工法の特性や施工事例を紹介する。同工法は、公益財団法人日本発明振興協会の第45回(2019年度)発明大賞表彰の考案功労賞、九州発明協会の佐賀県発明協会会長賞をそれぞれ受賞している。 


■FWG透保水性舗装工法の特性と応用事例  

 路面表面には、透保水性インターロッキングと、空隙率15%以上の透水性アスファルトの2工種から選定することができる。 


■FWG透保水性舗装工法の特性  

 模式図―1に示すような道路歩道部やパーキングエリアにミラクルソルを活用した透保水性舗装を実施することで、降雨や打ち水により、インターロッキングブロックやミラクルソルの層に降雨により吸水保水された水分が晴天時に蒸発する。この気化熱により路面温度を低下させ、風の道により熱の排除効果があり、周辺の温度上昇をも抑制する透水と保水機能を持ち合わせ、確実に温度低下をもたらす特性を持つ。 


■ミラクルソルの水分吸上げ特性  

 前節で述べた気化熱を発生させるためには、継続的に路面が水分を保持しておく必要がある。ミラクルソルの保水層が吸水した水分を、毛管現象を発生させて吸い上げることを想定した試験を室内にて実施した。  


 供試体の作成には、直径7㌢のアクリル製カラムを用いて、試料を550KJ/立方㍍のエネルギーで締固めた。試料は、吸水性ミラクルソルの粒径2㍉アンダー(以下WG―04―0002)、粒径10~50㍉(以下WG―04―1050)、WG―04―0002とWG―04―1050を体積比3対7で混合したもの(以下WG―04混合)と、比較対象として砂を用いた。  


 実験結果として、吸上げ高さの経時変化を図―1に示す。試験開始から1週間後の吸上げ高さを見ると、WG―04―0002が47・5㌢、WG―04―1050が17・8㌢、WG―04混合が30㌢、砂が33㌢であった。  

この実験データから、透水性アスファルトの下部と透水性アスファルトの空隙の中にミラクルソルの2㍉アンダー(WG―04―0002)を用いることにした。 


応用事例①:透水性アスファルトとミラクルソル併用  

 旧アスファルトに1カ所につきφ10㌢/平方㍍を深さ約20㌢の中空を路床まで掘削し、中空部はミラクルソル2㍉アンダーを流し込み転圧をする。次に、舗装表層が空隙率15・3%の透水性アスファルトで施工する。  

 空隙が大きいためにアスファルト下部のミラクルソル層に保水した水分を確実に毛管現象を発現させ、アスファルト舗装下部のミラクルソルの保水層に接触させるため、模式図―2と写真―①、②、③に示すように、ミラクルソル2㍉アンダーを2回に分けてアスファルトの表面に散布し、写真―③に示すように、散水することによって空隙内を充填した。


応用事例②:FWG透保水性インナーロッキングを使用  

 唐津市内に於いて、建物の外構部にFWGインターロッキングを使用した透保水性舗装工法を説明する。模式図―3参照 

 コンクリートが板状に施工されてウッドデッキが施工されていた。コンクリートを廃棄物としないため、応用事例①と同様に、厚さ8㌢のコンクリートに穴をあけ、路床部に接する全体をミラクルソル2㍉アンダーで充填しコンクリート板上にも2㍉アンダーのミラクルソルを撒き出して締固めた。上部には、写真―④、⑤、⑥が示すようにFWGインターロッキング(1平方㍍/15㍑の水を含む)を施工した。 (続:第36回治山工事コンクール 鍋倉地区緊急治山工事が日本治山治水協会長賞を受賞)





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